さては恋にでも破れたか

さては恋にでも破れたか

元・義理の姪っ子。
字面だけでちょっと笑ってしまう。
かつて妻だった女の姉の娘だ。

血縁でないことを示すために義理と書いたが、普通はそうは言わないらしい。
この姪っ子、実は15の夏に俺が女にしてやった娘だ。
俺から巧いこと言い寄ったんじゃない。

彼女からどうしてもと言われて断らなかっただけ。
嫁が出て行った格好なので俺の住所住居は変わっていない。
姪を抱いたのも実はこの部屋だった。

フェラからゴムの着け方から何から全部俺がほとんど一から仕込んだ。
姪は高校に合格し、手を振って俺の元から飛び立った。
俺も笑顔で見送った。

嫁との仲はその頃から少し冷えていたが、子供を作れば何とかなるんじゃないかと思って頑張ってもみたが駄目だった。
嫁には言っていないが、俺は嫁に出会う前にある女を中絶させた経験がある。
責任を取るつもりで女の父親に会ったがにべもなく追い返された。
子供、胎児と言うべきかが男子なら自分が引き取る。

女子なら今すぐにでも始末させる。
父親の弁には取り付く島もなく、俺は女を親元に帰した。
正直言うと少しラッキーと思った。
子供に関しては生まれたかどうかも知らない。

まだまだ続きます

そんな事情があって、不妊の原因が妻にあると、俺は言わぬまでも考えていて、それが最終的には離婚の原因になったのか、姪とのことも実はばれていたのかもしれず、とにかく妻は俺の元を去った。

元嫁の親族で俺に続けて年賀状をくれたのは姪だけだった。
高校最後の夏だったか、姪が部屋に遊びに来た。
絨毯を敷いた和室、そこで俺は姪を女にしたのだが、横になり、遠い目をしながら彼女は絨毯を撫でていた。

また抱かれに来たのか。
俺はそう思った。

彼女にとって何か人生の区切りなのかもしれない。
彼女が俺を訪ねてくる理由が思い浮かばなかった。

当たり前のことだが15の頃よりは、ずっと抱いてみたい容姿に育っている。
別れはしたが嫁とも好きで結婚したわけだから、その面影に俺が惹かれるのも道理だ。
けれども俺は彼女には少しも触れずに笑顔でまた見送った。

その自分の姿に陶酔していた。
格好いいと信じていた。
抱かぬことで彼女から突き付けられるかもしれない区切りを拒んだのかもしれない。

ほんの少し自らの老いも感じた。
それからまた何年も経った。
紙の年賀状は携帯のメールに変わり、誕生日を祝われても嬉しくはない歳になったが祝われる以上はありがとうと返した。
そんな彼女がもう深夜と呼べる時間帯に予告なく俺を訪れた。

さては恋にでも破れたか。
影のある様子にそれで間違いなかろうと俺は考え、まだ熱い湯が沸いているはずだと風呂を勧めた。
事情が許すのならいくらでも泊まっていけばいい。

かつて妻と使っていた寝室はそのままで、それなりに手入れも怠っていない。
俺はもう何年になるか、和室に布団を敷いて寝ている。
そうあの、絨毯の和室だ。

風呂上がりの彼女にビールを勧めたが遠慮されたので、もう今夜はどこへも送らなくていいんだね?と確かめてから一人で飲んだ。
差し向かいなので詮索せずとも彼女から身の上は語ってくれると思っていたが、果たせずに結構な時刻になった。

「それじゃあ明日も仕事があるから今日のところは寝かせてもらうよ」

そう言って立つと彼女も伏し目がちにではあるが素直に立って、そして寝室のドア前で別れた。