いいよなあ、若いのは

いいよなあ、若いのは

高校の頃、叔父さんが塗装関係の会社にいて、夏休みに何度かバイトさせてもらったことがある。
とある現場で、ただのお手伝いである俺はメインの塗装作業には加われず、やれる雑用も無くなってしまって、もてあましてうろうろしてた。

現場敷地の隣には住宅があって、仕事とは無関係なんだけど、その家のブロック塀に落書きがしてあった。
中学生のいたずら丸出しのやらしい言葉が書いてあった。

暇なんで消してあげようと思った。
道具の名前なんかも忘れちゃったけど、壁を擦ったりサビを落とす道具がある。
何か鉄のタワシみたいのがぐるぐる回るやつ。

それでやってみたんだけど意外にしつこくて消えなくて、ひたすらゴシゴシぎゅんぎゅんやってたら叔父さんに見つかって怒鳴られた。

人さまの家に何やらかしとんじゃー!と本気で怒鳴られて俺しょぼん。
余計なおせっかいして怒られたと思ったんだけど、まあそれも悪いことなんだけど、叔父さんはどうやら、その落書きを俺が書いたと思ったみたいだった。

誤解はすぐに解けたので、叔父さんも「まあえーわ」と許してくれたけど、「で、何て書いてあったん?」とニヤニヤ。
完全に消えてはいないから見ててわかってるだろうに。

まだまだ続きます

そうこうしてる内に、その家の人が出てきた。
40代ぐらいの、お母さんらしき人だった。

「隣で仕事してるペンキ屋さんね?何してるの?え、落書き!人さまの家に何やっとんじゃー!」みたいな流れに再びなってしまって、今度は叔父さんが謝るハメに。
叔父さんゴメンね。

当然、誤解はすぐに解けたのでお母さんも「まあえーわ」と許してくれるどころか、おせっかいに感謝してくれた。

「せっかくだから最後まで消しちゃって。お茶くらい出すし」とお母さん。

叔父さんも「もう他にお前の仕事ないから任す。やっとけ」というわけで再び作業してて終わりかけた頃、お母さんが缶ジュース持ってきてくれた。

と思ったらお母さんじゃなくて、よく似た可愛い娘さんだった。
お母さんに言われて事務的に持ってきたんだろうな、みたいな無愛想な感じで「あー、これー、どぞー」とか言われて缶ジュース受け取って、近くで顔見たら、同じ学校の先輩だった。

少しは話したことがあって、お互い顔は知ってるので「あ!」「あ!」ってなった。

なりゆきで少し談笑しちゃったりして、単純な俺は先輩がちょっと好きになってきた。
学校では見れない、部屋着って言ってもいいくらいのTシャツ短パン的な私服の先輩に、俺はドキドキしていた。
学校の制服セーラー服では、おっぱいの大きさがあまり分からないんだなって、しみじみ思った。

先輩が言った。

「で、何が書いてあったん?」

ただでさえ俺はドキドキしてるのに、そんなこと聞かれて、やらしい言葉なんて言えるわけなかった。
どぎまぎしてる俺(どぎまぎって死語?)を、先輩はニヤニヤしながら見てた。
ああああ、落書きの内容を知ってて意地悪で言ってるんだ!ってわかった。

黙ってる俺に先輩は

「ふふー、俺くん困っちゃったか。また今度教えてね!」

萌えた。
先輩の耳元でやらしい言葉を囁くことを想像して勃起した。

そして仕事帰り、叔父さんに「可愛い女の子としゃべっとったな!」と冷やかされた。
見られてたかー。
俺は照れてウフフフーと気持ち悪い照れ笑いをしてしまった。

「いいよなあ、若いのは」とつぶやいた叔父さんは、その現場ではもう俺が手伝える作業なんかほとんどないのに、「明日もバイト頼むわー」と言ってくれた!

そして翌日、「改めて隣に挨拶して来い」ってことで一緒に行ったら、お母さんが出てきたあと、先輩も出てきて

「あ、俺くん!今日も仕事?頑張ってね!」

胸キュンした(胸キュンって死語?)。

叔父さんが先輩に「昨日は甥が迷惑かけちゃって。同じ学校だって?」と話し掛けると、先輩は「えー、あー」って感じでうまくしゃべれなくて、人見知りなんだなあって思った。

昨日は俺に意地悪な質問もしたくせに、緊張すると小さくなってしまうんだな。
そんな様子に萌えた。

そして先輩は俺にこっそり「叔父さん、俺くんによく似てるね、かっこいい人だね」と言ってきた。
間接的に「俺くんかっこいい」って言われたわけだ!俺は有頂天になった!

夏休み明けに意を決して!先輩に告白しようとしたら、「叔父さんと付き合い始めた」って言われた・・・何だそれえええ!

「やっぱ大人の男の人って頼りになるよねえ、ふう(うっとり)」

(叔父さんと言ってもまだ若くて30前後でしたが、高校生にとってはかなり大人でした)

俺をダシにして叔父さんが先輩を口説いてたと知ったのはしばらく後になってからだった・・・。

「イイよなあ、若いのは」って呟いてたのはそういう意味かよおっさん・・・。

地獄に叩き落とされた気がした(地獄って死後?)
ひょっとしたら先輩も俺をダシにしてたのかも知れない。

落書きの内容を俺が先輩に教えてあげる日は来なかった。

先輩に、「叔父さんに教えてもらってる」と言われたからだ。

「教えてもらった」じゃなくて「もらってる」という言い方に、ベッドで言葉責めされるとかそういう意味があるんだって気付いたのも、しばらく後になってからだった。

そして先輩は俺のおばさんになり、年の離れた小さな従妹が生まれた。
従妹可愛い。
イイよなあ、若いのは・・・。